購入
購入
 

「キャラクター」は現代社会最大の共通言語 〈前編〉

Session 01 宇野常寛×武地実

 

本当に多様なのは人間の幻想領域

武地:僕らがやろうとしてる最終的なビジョンは「Living with Characters」つまり、キャラクターと暮らせる未来を当たり前のものにしたいんですよ。キャラクターが好きということに対する偏見をなくしていきたいですね。

宇野:そう言った偏見を持つ人っていうのは、キャラクターのことをちゃんと理解していないということですよね。キャラクター好きという人の多くは、人間の代替物としてのキャラクターを求めてるわけじゃなく、二次元のキャラクターにしか生み出せないコミュニケーションを求めているわけで。

武地:まさにその通りです。

宇野:そんなこと言うなら、人間とだけ付き合ってろってことですよ(笑)

武地:宇野さんらしい表現、僕大好きです(笑)人間とだけ付き合うって難しいですよね、実際。

宇野:難しいというか、つまらないと言うか。インターネットやSNSが普及してわかったことって、大抵の人間って考えていることがあまり変わらなかったってことですよね。もちろん、多様性が表に現れたこともありますよ。こんな活動している人がいるんだとか。でもそれと同じくらい、100人いたら99人は同じことしか考えていないということもわかったわけですよね。

武地:確かに、FacebookやInstragramでみんな同じご飯の写真をあげちゃうとか。

宇野:つまり、リアルな人間のコミュニケーションは、残念ながらあんまり多様じゃないんですよね。本当に多様なのは人間の妄想の世界、幻想領域だったということ。そしてそれが文化であると言う話だと思うんです。

変わらない良さと、変わり続けられる良さ

武地:ここまではキャラクターの概念的なことをお話をしてきた訳なんですが、もう少しキャラクターの強みについて、掘り下げていければなと思います。二次元キャラクターが得意とするコミュニケーションというと、アニメや漫画を通じて、人生の教訓みたいなものを学ぶ、ということがあると思うんです。例えば、アンパンマンとかドラえもんだと、正義についてだったり、友情についてだったりを、いつの間にか感覚的に感じ取っている。しかも、人間が生活の中で演じているキャラクターのように、気持ちや社会的立場の変化でコロコロ変わったりすることもなく、ずっと同じ個性を保ち続けて、それを見る人たちに良い影響を与え続けられるのも魅力の一つだと思うんです。

宇野:キャラクターって、絶対に変わらない部分を持っていますよね。ドラえもんって100年経っても、あの外見や動き、喋り方や他のキャラクターとの関係性をキープできればずっとドラえもんなわけで。その一方で、ドラえもんというキャラクターをしっかりと残しつつ、時代に合わせて進化することもできると思うんです。例えば、ドラえもんだって、藤子・F・不二雄が亡くなってからは、様々な脚本家の方々がアニメの話を書いて、現代のドラえもんとして存在していますよね。これもキャラクターの魅力だと思うんです。

武地:時代が変わってもその時々で、夢を与え続けられるのって素晴らしいことですよね。

宇野:もちろん、ランダム性というか乱数供給源としては人間の方が優秀だと思うんです。何をしでかすかわからない危うさみたいなものも含めて。だけど、キャラクターには一人の人間の一生を超えた射程の長さがあって存在し続けられる、そこは人間とキャラクターそれぞれのアドバンテージがありますよね。

武地:そうですね、それぞれの良さがある。そういえば、普段宇野さんはアニメとかご覧になるんですか?

宇野:実はあまり萌え系のキャラクターには興味がないんですけど、昔からキャラクターで言えば特撮はオタクと言っていいくらい好きですね。

武地:なるほど、いつ頃からご覧になっていたんですか?

宇野:1歳とか2歳から見ていたと思います。好きなキャラクターの年代を逆算していくと、それくらいの年齢から見ていたことになっていて。おぼろげながらに記憶があるんですよね。もちろん、再放送と混同している可能性もあるんですが。初期の仮面ライダーとかスカイライダー、デンジマンとか大好きでしたね。昔は身体が弱かったこともあって、ずっと家でテレビを見ているような子でした。そうしたらオタクになっていくのは必然というか。気がついたら自分の人生のメインディッシュになっていました(笑)武地さんは?

武地:実は、キャラクターに目覚めたのが遅くて。大学生になってからなんですよね。ある種、劣等感を覚えてたりもするのですけど(笑)。冒頭に少しお話ししましたが、Gateboxの開発につながったのも、最初の事業が上手くいかなくて弱っているときに、自分を奮い立たせてくれたり、元気をくれたりするのってなんだろうと考えてみたんです。すると、初音ミクの曲や当時流行っていたアニメを見て明日も頑張ろうって思えた自分がいたことに気がついて。僕の生活に与えてる影響力でいうと、人間とのコミュニケーション以上の価値があるように感じていて、二次元キャラクターが自分の生活のもっと身近なところに存在していたら、自分の生活も豊かになるかなって思ったんです。

後編「妄想力を形に~二次元から三次元への扉を開く」へ続く

Session 01 宇野常寛×武地実